桃の家のお料理2

 前回、生産者の側から見た、桃の家のお料理についてお話しました。

今回はお客さまのことです。

こういうことは聡美と意見を交わしたり、前もって打ち合わせしたりというのはないんですが、
おそらく私と聡美、そしてあき津や加豆美の間でも食い違いはないと思うので、自信を持って書けます。

桃の家のお料理のコンセプトというのは、簡単に言ってしまえば、「一番大切な人に出すお食事」ということです。

まず、うちでお客様に提供してきた食材と、うちの子達に食べさせてきたものの間に、ほぼ違いはないと言って
いいと思います。

どんなに生産者が大事と言っても、うちの子たち=お客様が一番大事であることには換えられません。

原発事故のあった東北や関東の生産者や流通の方々とのお付き合いは、それは大事なものではありました。

けれど、それとお客様=うちの子と同列に論ずることはできなかった。

この点について、迷いがなかったかと言えば嘘になります。

それらの方々との取引を停止することは、まさに断腸の思いでありました。

今考えても涙が出ます。

特に、大磯で一番の魚屋さんである(と私たちが尊敬していた)魚龍さんや魚作さん、
素晴らしい魚介を提供してくれていた三陸水産との付き合いは、私たちにとって珠玉のものでした。

これらの方々は、私たちが「申しわけないけれど、しばらく買うことはできない」と言った時に、
なにも言わず、すべてを受け入れてくださいました。

魚龍さんはその後健康を害されて閉店してしまいました。

三陸水産とは今でもお付き合いがあります。
ただし、三陸のものでないものだけを購入しています。
本来、胸を張って三陸産のものを売りたいに決まっていますから、
やはり申し訳ない気持ちを持ちは、どうしてもあります。



そういったたくさんの人たちの思いと苦労を、すべて無に帰したのが原発事故です。

だから絶対に許せない。

それが私の原発に対する思いです。

ちょっとお料理の話とは離れてしまいましたが、概ね桃の家の仕事というのはこのように行なってきたことは
間違いのないところだと思います。

その態度は尾道へ移転しても、変わることはありません。

ただ場所が変われば、お出しするお料理も変わることでしょう。

新桃の家のお料理がどんなものになるか、それは私も楽しみです。

それを堪能する日を楽しみにしている、私もそのひとりであるのです。
野尻記
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by momonoyaoiso | 2016-01-02 18:03 | 日記
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